Dancing trees, Singing birds

 東京の都心に建つ集合住宅である。敷地奥の傾斜地には、40mにわたって林が残っていた。そこで木々を極力伐採せずに、容積を最大限確保することにした。まず樹木医と協働して根の位置を調査し、太い根を切断せずに済む、ぎりぎりの位置に構造壁を設定。どうしても根に当たってしまう地中梁は、蛇行させて避けた。

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 次に、直径15cm以上の枝を独自に開発した方法で測量し、そのデータをコンピューター上に三次元化。 木の生長や強風時の枝の揺れをシミュレーションして、枝の及ばない空隙を割り出し、そこに部屋をはね出した。部屋の外形は少々いびつになったが、それは自然の環境をあるがままに受け入れた結果だ。

 伐採や切断ではなく、樹木への局所的な対応で建築を作るこの方法は、鳥の巣づくりに似ている。内部は、RC造のLDKや寝室などの大空間と、鉄骨造で森に張り出した浴室や書斎などの小空間からなり、どの部屋も森に接するように配置されている。窓の周辺にはデスクや本棚、浴槽、洗面台を設けて、森と共に生活できる空間である。住人は生活の中で、リスのように樹肌や葉を間近で眺めたり、花の香り、小鳥のさえずりを、実感することができる。

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 樹木の挙動という、「自然のふるまい」に応答した内部空間では、住人の「生活のふるまい」が展開されるのだ。それぞれの活動が共鳴することで、人は自然の営み自体を徐々に身体化していく。我々はこの反復運動により自然への愛着が深まると考える。自然保護と容積最大を希求する資本主義を架橋し、緑を守り増やすことが経済合理性となる社会を作り出す設計である。

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Completion
2007.08
Principal use
Residence
Structure
RC + S
Site area
770㎡
Total floor area
685㎡
Building site
Tokyo
Structure design
Oak Structural Design Office
Contractor
NISHIMATSU CONSTRUCTION
  • 日本建築家協会賞
  • GOOD DESIGN AWARD 金賞
  • BSI Swiss Architectural Award 2012