Bird`s Nest Atami

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 カラスが作ったハンガーの巣に感心することがある。ハンガーは強度だけでなくクッション性に富んでいて、枝よりも引っ掛かりが多いから組みやすい。自然と人工の二項対立を易々と飛び越えて、カラスは機能的かつ快適な環境を作りだしている。

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 そんな巣のような建築を作りたいと考えている時、ツリーハウスビルダーの小林崇さんから依頼を受けた。星野リゾート「リゾナーレ熱海」が新設したアスレチックゾーンの目玉として、10㎡以下のティーハウスが求められた。ホストツリーは海を望む豊かな原生林の中に鎮座する、胴回り6m、高さ22m、樹齢300年以上はあろうかという大楠。我々は不特定多数の人々が使用する施設の性格上、安全安心で構造的に説明可能であるべきと考えて、木に一切触れない自立した建築を目指した。ただし敷地は急峻な斜面で重機が入らないし、上屋は地上から約10mの込み入った枝の中に設ける必要がある。

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 そこで人力による建設が可能な小さな部材で構成すべく、直径3センチほどの六角と四角の無垢の鉄棒の面と面を組み合わせて、各二点ずつ強力六角ボルトで緊結するトラス構造とし、根のわずかな隙間を狙って落とす基礎は、コンクリート工事や大規模な掘削を必要としないピア型とした。仮設足場無しに架構自体を足場としながら、鳥が巣を作るように枝を避けて編み、その結果を構造解析して足りないところには部材を増やし、余分なところは部材を抜くように構成した。

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 内部はモルタルをツバメのごとく塗りまわした。今後は裏山に落ちている枝を来場者が上屋外壁にまとわせることで、鳥の巣づくりを体感できる余地を残した。製作者の身体スケールがそのまま反映した外観や内部空間は、実にやさしく居心地の良い雰囲気を持つだろう

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 運べるほどの小さな部材をより合わせて作る建築。敷地ならぬ敷木形状の微差に柔軟に対応できる巣のような建築は、周囲の空気を内包しながら、黒々した枝が密集する森の中に溶けている。

photo by Koji Fujii / Nacasa and Partners Inc.

Completion
2014.03
Principal use
Tearoom
Structure
S+T
Total floor area
9㎡
Building site
2-13-1 Minaguchicho, Atami-shi, Shizuoka
Structure design
ARUP JAPAN
Contractor
TREEHOUSE CREATION
  • AR Emerging Architecture Awards 2015 highly recommended prize
  • Architizer A+Awards 2017, Finalist in Architecture +Sustainability