Secret Garden
東京近郊に建つ迎賓館である。強いセキュリティが求められたが、刑務所のような塀を敷地外周部に回すのではなく、35m角の人工台地を設けて中庭と道路の両側に緑量を作り出すことで周辺と区画することにした。人口台地のピロティ部分には特注の無垢のガラスブロックを積むことで、周囲を否定することなく半透明な壁とし、一年を通して様々な表情の庭の輝きを街に振りまく計画とした。人口台地の下をくぐった敷地内では、内外を「蛇行」形式で結ぶことで、有機的かつ連続的な体験の創出を目指した。桂離宮が庭と建築の分節なしに雁行形式で体験を結んだように、ここでは「蛇行」によって庭(外部)と建築を結んだ。錆石の石垣や、造船技術の撓鉄によって緩やかにカーヴしたコールテン鋼の壁、漆喰壁という順で、人が180度向きを変えて歩みを進めるほどに壁の質感が柔らかくなり、そのたびに新しい受け壁が正面に現れる。歩む人は、蛇行するたびに壁を背景に立ち現れる、アートや蹲踞、暖炉や庭の名木、大理石の一石づくりのキッチンカウンター、アンティークの家具などの魅力的なエレメントに正対で向き合い、部屋の奥へ奥へと進む。重なる水平スラブや木の大天井、庭に延長した庇、石垣など、内外を問わず同一の素材・空間構成とすることで、庭と内部空間が有機的な関係を結ぶ建築である。
- Completion
- 2020
- Principal use
- Guest house
- Structure
- RC + S
- Site area
- 1,426㎡
- Total floor area
- 1,629㎡
- Building site
- Japan
- Structure design
- yAt Structural Design Office
- Contractor
- TODA
- Team
- Hirotoshi Koizumi, Shohei Hatori